ナノメートルレベルの微細加工の開発に着手
―高精度な光学素子の加工とバイオミメティクスを利用した表面構造による新たなビジネスへ―
表面微細加工とは?
表面微細加工技術とは、製品や金型の表面に光の波長より小さい、非常に微細な構造のパターンを構成することにより、さまざまな光学目的、または物理的機能の付与を可能にする技術を指しています。
ナルックスのリソグラフィー技術
ナルックスでは自社に保有するリソグラフィー機器による表面微細構造の開発と製造、また東北大学内 ナノテク融合支援センター 微細加工プラットフォームの半導体プロセス装置の利用による研究開発の深化を進めるなど、豊富な設備環境をもって表面微細加工の研究開発に力をいれております。
回折光学素子やマイクロレンズアレイといったナノメートル精度の光学素子の加工はもちろん、生物が持ちうる表面構造を模倣することで物質の表面に同様の物理的機能(反射防止、撥水機能など)を付与させるといったバイオミメティクスの観点に沿った開発・研究を進め、これまでにない新しいビジネスの開拓を目指しております。
また、ナルックスでは微細構造の受託加工も受け賜っております。
これまで培ってきたノウハウを生かし、皆様のアイデアを実現するためのお手伝いをいたします。
新規微細構造の提案・設計・試作から形状・光学特性の評価まで一貫した開発体制で対応いたします。
まずはお気軽にご相談ください。 → お問い合わせフォーム
リソグラフィー加工 対応例
レジストパターニング
- マスク露光
- レーザー描画
- 電子ビーム描画
形状転写
- UVインプリント
- 電鋳
エッチング
- プラズマエッチング
- ウエットエッチング
薄膜生成
- スパッタリング
- リストオフプロセス
反射防止構造(ARS:Anti-Reflective Structure)
蛾の眼(Moth Eye)には微小な凹凸構造が並んでいて、光の反射を抑制する働きを持ちます。このような構造は反射防止構造(Anti-Reflective Structure)と呼ばれます。
光学製品に反射防止機能を持たせる代表的な方法の一つには蒸着による表面コーティングなどが挙げられますが、表面微細加工による反射防止構造では微細構造による光の入射角度依存性が低く、膜剥がれやクラックが原理上起こらないことや、密着性が悪くコート困難な材料(アクリル等)にも加工可能、といった利点を持ちます。ナルックスでは、レンズ表面に反射防止構造を付与する加工技術の開発を行っています。
原理
光の反射は、例えば光が空気からレンズに入射する際の急激な屈折率の変化によって生じます。光の波長以下のピッチをもつ構造体がレンズ表面に存在すると、境界部での屈折率変化が緩やかになり、光の反射が抑制されます。
ナルックスの反射防止構造(ARS)の特徴
- モスアイ構造体を凸形状から凹形状に変える事で転写性を向上(U.S. Patent No.11/921,324取得済み)
- 独自の加工法(特許第5584907号取得済み)曲面上かつ大面積にも対応が可能
加工実績 φ60mm - 独自開発の光学設計ソフトを使用して最適な形状設計が可能
- 反応性イオンエッチング技術光学製品へ直接加工(JP-PATENT No.6611113, No.6901189)
用途/使用事例/加工実施例など
- 車載、炎天下など高信頼性が要求される照明レンズやアプリケーションへの適用
- イメージングやセンサーシステムなど
- 医療用内視鏡レンズなど防塵性が必要なレンズ製品
入射角依存性の高い光学系の適用
基材:シリコン、ポリカーボネート、アクリル、石英ガラス、等
多様な素材への加工実績あり
石英ガラス基板へのARS加工例
ARSのない石英ガラス基板は壁の文字が反射しているのに対し、反射防止構造を施した左側の基盤には文字が反射して見えることがなく、透明に見えます。
反射防止構造を応用した超撥水制御
反射防止構造(ARS)で紹介したような微細構造体を表面に付与する技術は濡れ性のコントロールにも応用可能です。自然界に目を向けてみると、蓮の葉は水を弾く事が知られています(ロータス効果)。これは葉の表面の凹凸形状が撥水性を強調するためです。この性質を利用する事で、微細構造体による濡れ性制御が可能となります。
密着性が低いため、蒸着やスプレーと言った一般的な撥水加工方法が適さない材質に対しても、製品表面に直接エッチング施すことにより、撥水性を持たせることができます。また、汚れの付着を防止できることもメリットの一つです。
適用事例:ブラックシリコン
撥水コートを施す場合、平滑な基板をコートするよりも微細構造を付与した基板にコートする方がずっと撥水性が高くなります。一般に接触角150°以上を”超撥水状態”と呼称しますが、当社ではARS技術を応用する事により160°を超える接触角を実現しました。